『混沌の塔』或いは『無限城』或いは『世界樹』




《概要》

ノイヴェーレ市の衛星都市のすぐ傍にある特殊なダンジョン。
文字通りに天を衝く巨大な外観は、見上げても全容が確認できないほどに伸びている。
その大仰さは理論的にありえないので幻の筈である、実は魔神の眠る地価へと潜る施設であるなど様々な仮説が生まれているが真実は不明。


《特殊性》

【復活する魔物と宝】

ノイヴェーレ市を発展させた最大の要因。
迷宮にある遺物や魔物は尽きることがなく、一定の期間をおいて再び現れる。
危険は絶えないが拾得物も永続的に手に入れられる空間は冒険者を引き寄せる誘蛾灯として機能しており、
今日も欲望を満たすべく足を踏み入れる者が絶えることはない。


【変貌する内装】

迷宮の構造は頻繁にその姿形を変える。
その変化はダンジョンという枠組みに収まらず、迷宮の特殊な異常さの象徴でもある。

階段を上った先に広がるのはありふれた遺跡の光景から、 熱帯のジャングル、陸に蔓延る珊瑚礁、果てには空の上で雲を踏みしめ歩くという事例すら報告されている。
フロアのギミックに関しても落ち着くことはなく、時には淫猥な罠がひしめく卑猥な迷宮として顕現することも。

基本的にそれらの変貌は短期間で起こるが、時には数週間といった長期間同じ構造が続くことがある。
ダンジョンにも流行り廃りがあるらしく、一時的に固定化された現象は攻略が安定するため冒険者に歓迎の事態となることも少なくない。


【魂の縛りの呪い】

このダンジョンに限り《死》の概念が曖昧となっている事象。

本来であれば禁忌であり究極である反魂や蘇生といった魔術が、迷宮内に限っては大きく成功率が高まる。
これはダンジョンの中で死亡した場合には本来は離れるはずの魂が肉体に縛り付けられる影響と言われている。
それにより死体も腐敗が殆ど起こらないが、元の損傷が酷い場合など蘇生が失敗するケースも決して少なくはない。
またあくまでも迷宮内で死亡した場合に限る現象であり、迷宮に入る前に損傷していた部位が復活することもない。
蘇生をするといっても死亡時の苦痛や魂でいる間の苦しみは大きく、迷宮の不条理さに手を引く冒険者も多い。


【修復士】

上記の呪いの影響により、それを生業とする者たちも生まれた。
修復士とはダンジョンでの冒険者の蘇生を専門とする職業である。
基本的に彼らはダンジョンの呪いの及ぶすぐそばの場所に本拠地を構えており、運ばれてきた死者を蘇生させる。
その際の料金は損壊の度合いに応じるが総じて高額であり、支払い能力がなかった場合は何らかの手段で完済を要求されることになる。

冒険者にとっては救い主であると同時に、銭ゲバであると忌み嫌われもしている。


《施設》

迷宮に挑戦する冒険者を助ける施設や、発掘した遺物の管理や下流にあるノイヴェーレ市へ送る施設が中心となる。
街の主導で簡易的に冒険者達の情報をまとめた管理所も設立されており、彼らへの情報交換の場所として提供される酒場や宿屋も数多くある。
また勤勉な人間を手助けするために鍛錬所も都市内には用意されている。
荒事が得意な者が多く集まるため、外部からそういった人間へと向けた依頼が持ち込まれることも度々見られる。
ただし日々訪れる冒険者たちにはゴロツキまがいの連中も混じるため、治安という観点ではあまり褒められたものではない。